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アコースティックエミッション(AE) Acoustic Emission

 アコースティックエミッション(AE)

アコースティックエミッション(AE)は、「材料が変形したりき裂が発生したりする際に材料が内部に蓄えていたひずみエネルギーを弾性波として放出する現象」と定義されています。この弾性波を材料の表面に設置した変換子すなわちAEセンサで検出し、信号処理を行うことにより材料の破壊過程を評価する手法がアコースティックエミッション(AE)法です。

 

身近な例では、地震も一種のAEと考えることができます。断層に亀裂が発生すると地震(AE)が発生し、地面の上(材料の表面)にいる私達はAEを揺れとして感じることができます。

 

 

観察されるAE信号は性質を異にする2種類に分類できます。一つは立ち上がりが鋭く減哀する突発型と呼ばれるAE波形で、もう一つは比較的周波数の高い連続したAE波形です。
 
・突発型波形
突発型AE波形は、主に固体内で生ずるき裂進展や変態に伴い放出されるため、破壊の進展に対応して検出されます。この突発型AE波形の形状と発生するき裂の間には下記の相関があります。
 1)発生数  :亀裂の進展数
 2)振幅   :亀裂の進展量
 3)エネルギー:亀裂の進展面積
 4)周波数  :材料により決定
 
・連続型波形
これに対し、連続型AE波形は上記の突発型AE波形が多数重なって発生したものと考えられ、主に材料の変形、摩擦・摩耗あるいは漏洩により発生します。この突発型AE波形の形状と発生する摩擦・摩耗の間には下記の相関があります。
 1)RMS値  :摩擦係数
 2)エネルギー:摩擦・摩耗量
 3)周波数  :材料により決定
 

 アコースティックエミッション(AE)による設備診断

アコースティックエミッションは、

 1)亀裂進展

 2)摩擦磨耗

 3)液体や気体の漏洩

 4)腐食

 5)放電

などにより放出されます。

 

この現象を応用すると、部材の亀裂、軸受の疲労・潤滑不良、配管の漏洩・腐食、変圧器の部分放電など様々な設備の異常を診断することができます。また、アコースティックエミッションは設備の稼動条件にあまり影響を受けません。例えば軸受では、回転数に関係な異常を判断できるので、従来、振動法では診断が困難だった低速軸受も診断することができます。

 

アコースティックエミッションを応用した設備診断例を下記に示します。
 
 
増速機、減速機

 増速機、減速機の軸受および歯車のはく離、潤滑不良を診断

 軸の亀裂の進行も検出可能

各種ポンプ 軸受のはく離、潤滑不良およびシールの劣化を評価
各種モーター はく離、電食の評価。放電の評価も可能
圧延機 すべり軸受あるいは転がり軸受のはく離、潤滑不良を診断
発電用タービン

 軸受のはく離、潤滑不良を診断

 タービンブレードのコーティングの亀裂も評価可能

変圧器 部分放電の発生を評価
圧縮機 軸受および歯車のはく離、潤滑不良を診断
エスカレータ 軸受、歯車のはく離、潤滑状態および各駆動部品の動作異常、亀裂、潤滑状態を診断
エレベータ 軸受、歯車のはく離、潤滑状態および各駆動部品の動作異常、亀裂、潤滑状態を診断
電動弁 ステムナットの摩耗量を評価
ライン装置 軸受、歯車の異常およびスライド機構の潤滑不良、焼き付きの評価
エンジン 軸受、歯車、カムの損傷およびピストンリングの亀裂、摩耗の評価
トランスミッション 軸受および歯車のはく離、潤滑不良を診断
プレス機 クランク機構等の機構部およびフレームの亀裂進展を評価
圧力容器

 稼働中に亀裂進展を評価

 水圧等により内圧を付加し発生するAEから亀裂存在を評価

タンク

 タンク底板の腐食を評価

 開放の必要性を評価可能

リアクタ

 稼働中に亀裂進展を評価

 水圧等により内圧を付加し発生するAEから亀裂存在を評価

各種釜

 稼働中に亀裂進展を評価

 水圧等により内圧を付加し発生するAEから亀裂存在を評価

ジャケット

 稼働中に亀裂進展を評価

 水圧等により内圧を付加し発生するAEから亀裂存在を評価

2重配管

 内管の溶接部の亀裂の有無を評価

 位置標定により亀裂位置を評価

配管(パイプ)

 稼働中に配管の腐食進行を評価

 また漏洩の有無を評価

各種弁 漏洩の有無を評価

 稼働中に亀裂進展を評価

 水圧等により内圧を付加し発生するAEから亀裂存在を評価

橋梁

 橋梁の溶接部、部材の亀裂進展の評価

 亀裂存在の評価も可能

トンネル

 コンクリートのはく離、亀裂進行を評価

 コアを採取することで荷重履歴を推定可能

PCグラウト AE波の伝搬状況からグラウト充てん量を評価
床版 床版の亀裂、はく離などの異常部を評価
斜面 崩壊を予知
地下杭 杭の亀裂の有無をフーチング上から評価

 アコースティックエミッション(AE)による製品検査

アコースティックエミッションによる製品検査の方法には大きく2つの方法があります。ひとつは、製品の加工時に生じる亀裂や摩擦・磨耗を検出する方法で、AEの基本的な使用方法となります。もうひとつは、加工の完了した製品に対して荷重を負荷することにより、製品に生じた亀裂の破面が衝突したりこすれ合うことによりAEが発生し、このAEの特徴(発生数や振幅など)から亀裂の有無を評価する方法です。この場合には、負荷する荷重は設計荷重の5%~10%が適当です。

 

アコーステックエミッションによる製品検査は、

 1) 加工と同時に異常の発生を検知可能

 2) 基本的に検査方法は、AEセンサを取り付けるだけで検査できるので生産

  ラインの大きな改造は不要

 3) 可聴域の騒音には影響を受けないので、防音室は不要

など他の検査方法と比較して優位な点が多数あります。

 

アコースティックエミッションによる製品検査例を下記に示します。

 

 

金型AE検査装置 ・遠心分離完了評価
・鍛造割れ検査 研削焼け検査装置
・ICボンディング不良検査 ・混合完了評価装置
・射出成型割れ検査装置 ・マグネット亀裂検査
・クランクシャフト亀裂評価 ダイス傷検査装置
・工具接触検知 ・タップ折れ検出
・レーザ溶け込み量検査 ・圧入時割れ検査
・ドリル摩耗欠損検出 ・ソーラーパネル欠陥検査
・セラミック欠陥検査 ・CFRP欠陥検査
・鍛造歪取り時亀裂検査 ・歯車かみ合わせ検査
・抵抗溶接欠陥検査  

 FCAS-M101(エフキャス)

FCAS-M101は、高性能で低価格なAE計測システムです。

AEの振幅、エネルギー、RMSの3つのイベントを計測することができるだけでなく、包絡線検波機能を有し、包絡線検波波形の記録や、定間隔の最大振幅、エネルギー、RMSを計測することができます。

また、オプションで外部信号による計測の制御も可能で、生産設備の動きに同期した計測ができます。データの保存は、SDカードを基本とし、コンピュータと接続することによりコンピュータにデータを保存することも可能です。

外部出力機能としては、RS232C、LAN、Wi-Fi、Bluetoothから選択することができ、用途に応じた運用が可能です。また、アラーム機能を有し、AEの各パラメータと設定した値を比較して信号(接点信号)を出力することもできます。

本装置はコンピュータと接続し、オプションのソフトウェアを使用することにより、包絡線検波波形や振幅の経過グラフ等の簡易的なグラフを描画することができます。計測結果をオンラインで観察することができるので、設備の状況を把握できます。
 
本装置は、LANで外部とネットワークで接続する各社のCLOUDサービスにも対応することが可能です。標準で、YE Digital様のMMCloudへの接続をご用意しています。